「英語の長文になると、途端に読めなくなる」「時間内に解き終わらない」——中学英語で、長文読解につまずく子は本当に多いです。単語や文法はそこそこできるのに、長文だけが苦手、というケースもよくあります。
私は大学の4年間、塾講師・家庭教師として、おもに英語を教えてきました。この記事では、長文読解を得意にするための考え方と、テストで使える具体的なテクニックを、現場の視点から解説します。
大前提:長文も、結局は「単語と文法の集まり」
いきなり元も子もないことを言いますが、大事なことなので言います。
長文といえど、その正体は単語の集まりです。単語が分からなければ、文が読めるはずがありません。
「長文が全く読めない」という子は、実は長文そのものが問題なのではなく、単語と文法の土台が足りていないことがほとんどです。まずはそこを固める必要があります。
まず単語——1単語に1秒もかけない
単語がそもそも入っていないなら、長文対策以前の問題です。以前、英単語の覚え方について詳しく書きましたが、要点だけ言えば、1つの単語にかける時間は1秒もかけてはいけないということです。わからない単語に何十秒も粘るのは、いちばんの無駄です。高速で何周も回して、接触回数で覚える。これが基本です。
そして文法——中学レベルは完璧に
もう一つの土台が文法です。中学レベルの文法は、完璧にしておきたいところです。
ここで、英語という科目の特性を理解しておいてください。英語は、社会や理科のような暗記科目とは違います。基本的に「積み重ね」の科目なんです。
社会や理科なら、その単元を暗記すれば、その範囲のテストで点が取れます。でも英語は違う。1つできない部分があると、必ずそのあとのどこかでつまずきます。文法は前の単元の理解を前提に積み上がっていくからです。
だからこそ、早めの対策が肝心です。中3の受験期になって「単語も文法もできていない」となると、取り返すのに大幅な遅れが生じます。土台のほころびは、早いうちに直しておきましょう。
読む前にやること①:導入文を読んで「あらすじ」をつかむ
ここからは、単語・文法がある程度できるようになった人向けの、実践的なテクニックです。
長文問題を解くとき、本文を読み進める前に見てほしい箇所が2つあります。
1つ目は、導入の文です。
問題によってある場合とない場合がありますが、長文の前に短い導入文(リード文)がついていることがあります。ここには、「誰が、どんなことをしようとしている」という、物語のあらすじが書かれていることが多いんです。
このあらすじを先につかんでおくと、大きなアドバンテージになります。ストーリー展開が頭に入っていれば、途中で分からない単語や文が出てきても、ある程度予測しながら読み進められるからです。「この流れなら、たぶんこういうことを言っているな」と推測が効く。これは読解を楽にする大きな武器です。
読む前にやること②:設問を「先読み」する
2つ目、そしてこれが時間短縮に直結する重要なテクニックです。それは、設問の先読みです。
忘れがちですが、テストには時間制限があります。長文読解で時間切れになる子は、たいてい「長文を全部読んでから、設問を見る」という順番でやっています。これは効率が悪い。
おすすめの順番はこうです。
1. 先に設問に目を通す(何が問われているかを頭に入れる) 2. 本文を読み進める 3. 読んでいる途中で、先読みした設問の該当箇所に当たったら、その場で解く
この順番だと、「どこを探せばいいか」が分かった状態で本文を読めるので、圧倒的に速くなります。全部読んでから該当箇所を探し直す、という二度手間がなくなるんです。時間制限のあるテストでは、この差が大きく効いてきます。
読みながらやること:段落ごとに「何の話か」を一言で押さえる
設問の先読みと導入文の確認を済ませたら、いよいよ本文に入ります。ここで差がつくのが、読みながら情報を整理できるかどうかです。
長文が苦手な子によくあるのが、最後まで読んだのに「で、何の話だったんだろう」となるパターンです。文は追えているのに、全体像が頭に残っていない。これでは設問に戻ったとき、答えを探すために最初から読み直すことになり、時間が溶けます。
対策はシンプルで、段落が終わるたびに「この段落は何の話か」を一言でメモすること。問題用紙の余白に、数単語の日本語で構いません。「主人公が転校した」「環境問題の原因」程度で十分です。
これをやっておくと、設問に戻ったときに「この話なら3段落目だ」と当たりがつきます。本文を探し直す時間が大幅に減るので、結果的に時間短縮にも直結します。
設問が狙ってくる場所は決まっている
もう一つ、知っておくと有利なことがあります。長文の設問が狙ってくる箇所には、はっきりした傾向があります。
特に次の2つは、印をつけながら読む価値があります。
- 指示語(it, this, that, they など):「この it は何を指しますか」は定番の設問です。出てきたら、その場で何を指しているか確認する癖をつけると、設問で詰まりません
- 接続詞(but, however, because, so など):筆者の主張や話の転換点は、ほぼここに現れます。特に but や however の直後は、筆者が本当に言いたいことが来る確率が高い場所です
読みながらこの2つに印をつけておくだけで、設問に戻ったときの手がかりになります。全部に線を引く必要はありません。狙われやすい場所だけを意識する、という発想です。
設問タイプ別の対処法
長文の設問は、いくつかの型に分かれます。型ごとに解き方を知っておくと、迷う時間が減ります。
指示語の内容を答える問題
指示語が指すものは、ほとんどの場合その直前にあります。まず直前の文を見る。それで合わなければ、さらに前に遡る。見つけたら、指示語の位置にその内容を入れて読んでみて、意味が通るか確認します。この確認を省くとミスが増えます。
内容一致問題(本文の内容と合うものを選ぶ)
選択肢を読んでから本文を探すのが基本です。このとき、「本文に書いていないこと」が選択肢に混ざっているのが典型的なひっかけです。「なんとなく正しそう」ではなく、本文のどこに書いてあるかを指させるかで判断してください。指させない選択肢は、たとえ内容が常識的に正しくても不正解です。
空所補充問題
空所の前後だけを見て即断せず、その段落全体の流れを確認します。特に空所の直前に接続詞があるときは、話が続いているのか、逆転しているのかで入る語が変わります。
時間配分の考え方
長文で時間切れになる子は、配分を決めずに「とりあえず前から解く」ことが多いです。試験が始まったら、まず長文に何分使えるかを決めてから取りかかってください。
目安として、こう考えると組み立てやすくなります。
- 設問の先読みに1〜2分
- 本文を読みながら解くのが大半の時間
- 最後に見直しの時間を数分残す
そして大事なのが、1問に詰まったら飛ばすこと。分からない1問に5分かけて、解けるはずの3問を落とすのが最悪のパターンです。印をつけて先に進み、余った時間で戻る。これは練習のうちから癖にしておかないと、本番ではできません。
解いた後が本番——長文の正しい復習法
意外と見落とされがちですが、長文は解いた後の復習で伸びます。丸つけして点数を確認するだけで終わらせるのは、かなりもったいない使い方です。
やるべきことは3つです。
- 間違えた問題が「なぜ」間違いだったかを確認する:単語を知らなかったのか、指示語を取り違えたのか、時間が足りなかったのか。原因によって次にやるべきことが違います
- 知らなかった単語を拾う:長文で出会った単語は、文脈とセットで覚えられるので定着しやすいです
- 解き終わった長文を音読する:意味が分かった状態の英文を繰り返し読むことで、読むスピードそのものが上がります
特に3つ目は効果が大きい割に、やっている子が少ない部分です。新しい問題をどんどん解くより、一度解いた長文を何度も音読する方が、読解力は伸びます。この考え方は、英語は声に出すことで定着するという記事で書いた原則そのままです。
最後は「多読」——とにかく多くの問題に触れる
テクニックを押さえたら、あとはとにかく多くの長文問題に触れることです。
高校入試の長文の題材には、実は定番があります。物語文、自然科学系の論説文、時事問題、社会、文化、歴史など、よく出るテーマがある程度決まっているんです。
だから、多くの問題を解いていると、「あ、この手の話、前に読んだことあるな」という状態になってきます。内容に既視感が出てくると、初見の緊張感が減り、内容も予測しやすくなります。
それだけではありません。多読には、単純に読むスピードが上がるという効果もあります。英語を英語のまま速く処理する力は、量をこなす中でしか身につきません。テクニックは入り口を作るもので、最後にものを言うのは触れた問題の量です。
保護者ができるサポート
ここまでは生徒本人がやることを書いてきましたが、保護者の方から「家で何をさせればいいか」と聞かれることもあるので、整理しておきます。
まず確認してほしいのは、つまずきが長文なのか、その手前なのかです。 本文で書いたとおり、長文が読めない原因の多くは単語と文法にあります。お子さんに教科書の英文を音読させてみてください。つっかえる、読めない単語が多いという状態なら、長文以前に土台の問題です。その場合、長文問題集を増やしても効果は出ません。
次に、量より復習を優先させることです。 問題集を次々に買い与えるより、一度解いた長文をきちんと復習させる方が伸びます。「何冊やったか」ではなく「同じ英文を何回読んだか」を聞いてあげてください。
そして、時間を計る習慣をつけさせることです。 家で解くときに時間を計らないと、本番の時間感覚が身につきません。キッチンタイマーを渡すだけでも変わります。
まとめ
- 長文の正体は単語と文法の集まり。まず土台を固める(単語は1秒、文法は中学範囲を完璧に)
- 英語は積み重ねの科目。つまずきは早めに直す
- 読む前に導入文であらすじをつかむと、予測しながら読める
- 設問を先読みし、本文で該当箇所に当たったら解く。これで時間短縮
- 最後は多読。定番テーマに慣れ、読むスピードも上がる
長文読解は、センスではなく手順と量で攻略できます。まずは土台を固めて、読む前のひと手間を習慣にするところから始めてみてください。
「土台」から一緒に固めてくれる人がいると早い
とはいえ、単語・文法の土台固めから、長文の読み方の習慣づけまでを一人でやりきるのは、なかなか大変です。特に英語は積み重ねの科目なので、「どこでつまずいているのか」を自分で特定するのが難しい。
家庭教師のガンバは、勉強のやり方から教えることを掲げていて、つまずいている単元まで戻って教えるスタイルが特徴です。英語のように積み重ねが大事な科目では、「どこから分からなくなったか」を見つけて、そこから立て直せる伴走者がいると、遠回りに見えて近道になります。
無料体験があるので、まずはお子さんがどこでつまずいているのか、相談してみるところから始めてもいいと思います。
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