「何円あげるから」が逆効果な理由——反抗期の子への正しい関わり方

現場コラム(講師の本音)

「思春期の子どもに勉強させるにはどうすればいいか」——これは本当に多くの保護者が悩む問題です。声をかけるたびに反発される。一緒に勉強しようとしても嫌がられる。親としてできることが何もないように感じてしまう。

私は大学の4年間、塾講師・家庭教師として、中学生を中心に多くの思春期の子どもたちを見てきました。その経験から言える、正直な結論があります。

この記事では、反抗期の子どもへの関わり方について、現場で見てきた事実と、うまくいかない方法の理由を、忖度なしで書きます。

反抗期の子どもに「勉強させる方法」は、実質1つしかない

まず、厳しいことを言います。

思春期で反抗的な子どもに対して、大人が直接アクションを起こして勉強させる方法は、ほぼ1つしかありません。

それは、「何点取れたら何円あげる」というような、報酬による動機づけです。

実際、塾の生徒の話を聞いていると、この「報酬制」を取り入れている家庭はかなり多いです。親からすると、声をかけて反発されるより、お金で動かす方が摩擦が少ない。だから採用する家庭が増えるのも分かります。

でも、私がここ4年で多くの生徒を見てきた結論を言います。

このシステムを使っている家庭の子で、長期的に成績が伸び続けている子は、本当に少ないです。

なぜ報酬制は長期的に効かないのか

勉強には、本来さまざまな動機があります。定期テストで点数を取りたい、あの子に負けたくない、行きたい高校がある——子どもによって違う「自分ごとの理由」があるはずです。

報酬制の問題は、これらの動機が全部「何円もらえるから」というお金に置き換わってしまうことです。

そうなると、何が起きるか。定期テストがない期間は勉強しない。3年生になって3年生の範囲は点が取れても、報酬が発生しない1・2年生の復習はしない。「お金にならないこと」への動機が育たないまま、どんどん穴が広がっていきます。

これは心理学的にも説明できます。外部から与えられた報酬で動くことを繰り返すと、本来持っていたはずの内的な動機(「楽しいからやる」「知りたいからやる」)が弱まっていく、という現象です。短期的に行動を引き出すためのツールを、長期の動機づけに使ってしまっている、というのが報酬制の本質的な問題です。

「親が言っても無理」は本当のこと

もう一つ、正直に言います。

思春期の子どもに対して、「勉強しなさい」という親の言葉でやる気にさせることも、親が一緒に勉強することも、ほぼ不可能に近いです。

これは子どもの問題でも、親の問題でもありません。思春期という時期の特性として、親からの働きかけを受け入れにくい状態になっている。親子という関係性そのものが、この時期の勉強の文脈では機能しにくいんです。

塾や家庭教師に来た子どもが、同じことを先生に言われると素直に受け入れる——そういう場面を、現場では何度も見てきました。「同じことを言っているのに、なぜ先生の言うことは聞くのか」と驚く保護者もいます。でもこれは自然なことで、第三者だから機能するんです。親子の関係は、教育の文脈では壁になることがあります。

では、保護者は何をすべきか

ここまでを整理すると、こうなります。報酬制は短期には効くが長期には逆効果。親が直接動かそうとしても機能しにくい。では、親はどうすればいいのか。

私が現場の経験から思うのは、お金を「報酬」として子どもに渡すのではなく、「環境」に投資するという考え方です。

報酬制に使うお金があるなら、塾や家庭教師などの外部の力を借りる。子どもが「○○円もらえるから」という外的要因で動いていた状態を、「○○になりたいから」という内的要因で動ける状態に変えてくれる、そういう環境を整えるために使う。

第三者の先生が入ることで、子どもは親との関係とは別の文脈で勉強と向き合える。その中で「できた」という体験を積み、自分なりの目標や動機を見つけていく。それが長期的に見て、正しい方向だと思います。

まとめ

  • 反抗期の子どもへの直接的な働きかけで機能するのは、実質報酬制のみ
  • 報酬制は定期テスト単位の短期では有効だが、長期的には内的動機を奪うリスクがある
  • 「報酬がない範囲は勉強しない」という状態になりやすい
  • 「勉強しなさい」という親の言葉が機能しにくいのは、思春期の特性であり親の問題ではない
  • 報酬に使うお金があるなら、外部の環境(塾・家庭教師)に投資する方が長期的に有効

思春期の子どもを動かすのは、親の言葉でも報酬でもなく、その子が自分の言葉で持てる「理由」です。それを見つける手伝いができる環境を、外に求めることが、一番の近道だと私は思います。

「第三者の力」を借りる選択肢

前述のとおり、思春期の子どもへのアプローチは、親ではなく第三者の方が機能しやすいことが多いです。

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